海鳴の記

お祭り見物が趣味のディレッタント。佐渡民謡の担い手です。

世界遺産登録活動批判シリーズ きらりうむ佐渡編

皆さんお待ちかね、かどうかは知りませんが佐渡世界遺産批判的検証シリーズ。今回は「きらりうむ佐渡」編。

きらりうむ佐渡、それは昔の佐渡会館の跡地に建てられた平屋の施設である。これは佐渡鉱山の世界遺産登録活動の中で、国の文化審議会から「ガイダンス施設を作れ」と答申があって建てられた施設だ、と記憶している。

2019年の春にオープン、中はガイダンス施設と合って西三川、鶴子、相川の世界遺産構成群の概要を知ることができる。映像やパネルを見て学ぶというスタイルで、入館料は大人300円。博物館でもないので、小判くらいしか展示品はなかった。

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率直に言ってこれは無駄施設以外の何物でもないと思う。ガイダンス施設とはいうものの、ゴールデン佐渡や西三川ゴールドパークなどの観光施設に行けば十分だし、それで足りないのならば佐渡博物館や相川郷土博物館で補完すればよい。

それでも足りない?ならば佐渡奉行所跡や版画村その他活用すべき建物は相川だけでもたくさんあるのだ。それを建物ばかり増やしてどう維持しようというのか。はっきり言ってきらりうむにお客さんがたくさん入っているところはほとんど見たことがない。

入館料は佐渡市の規定なのだと思うが、客観的にいって相川博物館や宿根木の民俗資料館と同額の300円というのは馬鹿げている。観光で来て300円取られてこれっぽちの中身というのは私だったらGoogleで☆1にして低評価のレヴューを書きまくる。

相川郷土博物館なんかは撮影が自由、佐渡鉱山だけでなく相川の町や農村部の文化も知ることができる。同じ300円ならこっちに行った方が確実に面白い。ゴールデン佐渡で鉱山の知識は手に入るのだから。

そもそも、ガイダンスとか言って佐渡金銀山のことを知ってもらいたいなら、カーフェリーやジェットフォイルの中で当該映像を流せばよいのである。ジェットフォイルでは現にそのような映像が流れていたと記憶しているが、ほとんど全ての観光客は船に乗って来るのだから、わざわざこんな施設を建ててお金を取って映像を流さなくとも良いのである。

はっきり言おう、きらりうむ佐渡を建てたのは失敗である。この施設には未来がない。なんか色々パン祭りだのなんだのやって盛り上げようとしているが無駄である。本来の意義であるガイダンス施設という役割が果たせなければ観光拠点足りえないし、佐渡の人が足を運んでも面白い所ではない。郷土博物館に行った方がどれだけマシか分からない。

しかし、佐渡の意識高い系の人にはきらりうむ佐渡を批判できないのである。私が腹立たしいのはここである。面白くもない映像のなかから必死に面白いポイントを見つけ、「なかなか良かったよ!」と一生懸命思い込み、悪くないということにしたがる人たちがたくさんいる。おまえはもう一度行きたいって言えるのか???

きっぱりこの施設はダメだと、抜本的にあり方を変えろと公然と言い放つ人がほとんどいないのがこの施設の、ひいては本市のダメっぷりを露呈させている。

映像を見せたりパネルを設置したりするだけなら、きらりうむのような施設は不要だったのだ。既存の施設を活用したほうがどれだけマシだったか知れぬ。それが難しければ佐渡汽船の船で代用すればよかったのだ。だいたい、中身はほとんど変わらないのにゴールデン佐渡でお金を取られ、奉行所でお金を取られ、きらりうむでも入館料を払うなど馬鹿馬鹿しい。常識的に考えれば分かるだろう。

今は客が少ないのをコロナのせいにできるが、元からそんなに盛況していたわけではなかったはず。世界遺産バブルで一時的に客が増えてもそのバブルはすぐ弾ける。それを考えればこの先10年ほどしたらこの施設の運営の問題が顕在化するであろう。そして閉鎖ということになれば、廃墟だらけの町にまた廃墟が増えてしまう。

文化審議会がガイダンス施設を作れと言ったのも正直意味が分からない。じゃあ他の世界遺産の候補地にはガイダンス施設があるのか?もしくは作れと言ったのか?と問いたい。そしてそれに佐渡側は唯々諾々と従うのではなく、建設的な対話をしたのかと問いたい。

短期的な目で見れば一部建設業の利益にはなったかもしれないが、きらりうむ佐渡の建設は失敗だったと言わざるを得ない日はそう遠くないであろう。