海鳴の記

お祭り見物が趣味のディレッタント。佐渡民謡の担い手です。

相川郷土博物館は市民向けの展示を基本にするべきだ

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近代の鉱山運営の歴史や当時の相川地区の暮らしを伝える資料などに焦点を当て、世界文化遺産登録を視野に金銀山を前面に打ち出した展示を目指す。

 

愚策である。特に近代の鉱山運営の歴史はゴールデン佐渡の展示で十分である。「道遊坑コース」の一部にそのような説明をしておけばよい。現在も近代の鉱山に関する展示に一室があてがわれており、それを充実させたり、展示替えを行ったりするだけでよく、博物館の展示全てをこのような近代の鉱山に使う必要はない。前面に打ち出すのはゴールデン佐渡奉行所のやるべきことで、メリハリが重要。あれもこれも鉱山の歴史を扱っていたらかえって面白くないからだ。

 

>市教委は「北沢を中心とした、近代の佐渡鉱山」をテーマに据え、相川金銀山の近代化を紹介するサテライトガイダンス施設としての活用と施設の耐震改修を行う。

 

博物館とはどのような施設であるかを忘れないで欲しい。生涯教育、社会教育施設であり、市民が楽しみ、学べる施設であることが重要なはずだ。「ガイダンス施設」にするのは本来の目的から大きくずれている。似たような内容の似たような施設を量産するのは共倒れとコンテンツの疲弊を招く。これを考えた人たちは自分でここを訪れたいと思うのだろうか?

 

>検討会では「二見や七浦地区の暮らしも紹介してほしい」「各フロアの様子を紹介する仕組みを」などの意見が出された。

 

二見、七浦だけでなく、金泉や高千、外海府もカバーするべきだ。郷土博物館は一度鉱山から離れてその在り方を検討してはどうか。市民の施設、市民の博物館なのだから、この際観光客のことなどどうでもよい。世界遺産効果などに頼るのは情けないことこの上ない。佐渡教育委員会の人は観光のことをいったん忘れてほしい。

 

博物館は何のために、誰のために存在しているのか?その目的を達成するためにはどうしたらよいのだろうか?この問いを忘れないで。