海鳴の記

お祭り見物が趣味のディレッタント。佐渡民謡の担い手です。

最近の鉱山祭のこと 提案篇

連作、鉱山祭シリーズは今回が最後です。

最後は提案篇です。これまでの記事を見てくださった賢明な読者は、今の鉱山祭には何が必要なのか既にお気づきのことと思います。

言うまでもなく、鉱山祭に必要なのはおけさの流しです。これを今より盛り上げること、具体的には流しに出る団体や人の数を一つでも二つでも増やす努力が、これまでさんざん批判してきた主催団体のみならず、相川に住む人たち、働く人たちにも求められていると言えます。

かつては役場、保健所、病院などの団体や職場の人たちが集まって流しをしていたのですから、今でもそれを復興させることが急務かと思います。もちろん、人が足りないなどの事情はあるかもしれませんが、私の経験則から言えば、流しは唄と三味線と笛があればできます。最低3人いれば成立します。今の佐渡の20代30代くらいなら学校で楽器のひとつくらい習っているはずですから、職場に一人くらいは扱える人がいると思います。いなければ練習すればいいだけのことです。

そして、流しに出てもらいやすくするために、今すぐにできることとして、実行委員会、主催団体にお願いがあります。流しには申請が必要と聞いています。申請書をもっと各種団体に配って出てくださいとお願いしてください。そしてHPにPDFを置いておいて、自分で印刷して記入できるくらいにはして下さい。

私は、この流しの申請のシステムが限られた人にしか知らされていない、大半の町民はこのシステムを知らないということを非常に憂慮しています。鉱山祭実行委員会は、まるでおけさ流しをしてほしくないと思っているかのようにすら思えますよ。回覧板でも何でもいいから、周知をして、流しに出たい人はこれを書いて持ってきてくださいと言うべきです。鉱山祭を心の底から盛り上げたいと思っているのならば、これくらいたやすいことだと思うのですが。

これは、同じことが祭典への寄付、花火への寄付にも言えると思います。寄付したいという人はこれ以上にいるはずなのに、どこに言えばできるのかがさっぱり知らされていません。おそらく主催側は流れ作業で商工会とか事業所にいつも通り紙を配ってハイ終わり、みたいなことを例年続けているのだと思います。はっきり言って今の鉱山祭実行委員会からは、祭りを成功させよう、そのためにみんなで協力して盛り上げていきませんか、というやる気がまるで感じられません。数十年前の佐渡観光の殿様商売みたいなことを今も続けていると言っても過言ではないでしょう。

以上の提案はどれもすぐに実現できることなのではないでしょうか。窓口を設ける、各種媒体で周知をする、寄付はどこそこにいつまでにお願い致します。流しに出てください、申請はこれを書いて下さい。練習する場合は教える人を紹介します。花火は春日崎ではなく台船から挙げて、もっと相川のどこからでも見えるようにしませんかと。祭の半年前には既に動き始めて、準備をして、予算を集めて計画を練る。これくらいやっても不思議ではないと思います。引き受けている以上はもっと本気で努力してほしいというのが私の願いです。その上でなら私もできることは何でも協力しますし、唄を教えてほしいというのであればいつでも教えます。

流れ作業みたいなのはもうやめませんか。チラシもここ何年かはデザインがすべて同じものの使いまわしです。PRの言葉も使いまわしでしょう。次の祭りは今までのよりももっとにぎやかに、より発展したものにしようという想いがないのでしょうか?

ここまでが主催者に対する要望で、残りは実名を出して申し訳ないですがゴールデン佐渡に対してです。

鉱山祭は名前由来からして鉱山の祭りであり、かつては三菱の社員が部署ごとに分かれて流しに繰り出していました。である以上、ゴールデン佐渡は鉱山祭に全面的に関与していかなければならないその責任と義務があると思うのですが、ゴールデンは流しにも出ないし、祭になると表に出てこず、消極的である印象を受けます。

大山祗神社の式典だけやってあとは知らない、みたいなそういう態度のように思えてなりません。いや、そもそも神事のやわらぎからして、社員のやる気がなく、声も出ていないし、こんなものを奉納してしまうと罰が当たるのではないかとすら思えています。

ゴールデン佐渡は、鉱山祭を他人事のように扱うのではなく、もっと流しに出たりして積極的に関わっていくべきです。こういう姿勢が相川の人をして世界遺産登録へ協力しようという気にさせるのではないでしょうか。今の鉱山祭りを見て誰が世界遺産なんかで盛り上がると思うのでしょうか。そして、世界遺産に仮になったとして、鉱山祭だということで観光に来た人がこんな祭をみて感動するでしょうか(安っぽい人は雰囲気だけで満足するかもしれんけど)。

このような在来の文化、地域住民の軽視は、ゴールデン佐渡だけではなく、世界遺産に乗っかっている人たちにだいたい当てはまります。だから、私には彼らの姿勢は自分たちが儲けることしか考えていないと映っているのです。こんな状況で一体だれが世界遺産なんかに協力するでしょうか。

私は、理想は高く昔のように賑やかでパワーのある鉱山祭が戻ってきてもらいたいなと心の底から思っています。理想は高いかもしれませんが、ここに書いたようなことは改善の一歩としては極めてたやすい部類に入るのではないかと思っています。人が少ないから人口を増やそうとか、有名人を呼ぼうとか、三尺玉花火を上げようとか、そういう一朝一夕に実現できないようなことを言っているのではないのです。来年からでもやろうと思えばできることばかりではないでしょうか。

そして最後に重要なことをもう一つ言います。実行委員会はどこの誰が、どういう人たちがやっているのか、こそこそやってないでもっと表に出てきて住民と話し合いをした方が良いと思います。相川の人ならみんな鉱山祭に少なからず特別な想いを持っているのではないかと推察します。そういう人たちと意見を交えるからこそ、本当に素晴らしい祭ができるのではないでしょうか。

 

ここまで鉱山祭シリーズをご覧に頂いた方は、佐渡相川の問題点がよく分かったのではないかと思います。近年はコロナでろくな祭りができていませんが、来年こそはコロナ前に近い祭をできることを祈っています。私も出る気でいます。来年から少しずつ改善されていくことを願ってやみません。なお、ここに書いたことはリアル世界でももっと発信していきたいと思っています。ひっそりここに書いておいたのは備忘録的な役割もあります。これを基に祭りが改善され、よその人に見せられるくらいの祭りになったらば、これをお読みの他所の市町村のひと、本土の人にぜひ鉱山祭を見に来てもらいたく思います。