海鳴の記

お祭り見物が趣味のディレッタント。佐渡民謡の担い手です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

さどまる倶楽部の特典は帰省客・佐渡出身者にはおいしくない

佐渡準市民制度を引き継いだ「さどまる倶楽部」という制度。登録すると特典がつく。アプリをダウンロードするとだっちゃコインなる地域通貨が使える(事前にチャージしないとダメ)。いわゆる関係人口の拡大のため、またリピーター客獲得のために佐渡市・観…

2022年の鉱山祭と相川祭り

年末なので2022年の振り返りを思い出したかのようにやる。相川の祭りと言えば大きいものが二つある。もちろん7月の鉱山祭と10月の相川祭り(善知鳥神社祭り)である。鉱山祭に関してはこのブログで再三紹介しているから今更取り上げるまでもないと思ったが、20…

奥三河の花祭を見学(R4.11.26-27)

民俗学界隈の人ならおそらく誰でも知っているであろう、奥三河の冬の祭りといえば、そう花祭である。花祭とは霜月神楽のひとつとされ、愛知県・長野県南部・静岡県(いわゆる三信遠地方)にまたがる天竜川水系の集落に伝承されている。霜月神楽とは読んで字…

当てこすりではなく真面目に考えたい 佐渡おけさと郡上節

7月に見に行った郡上踊りのことは既に記事にしたわけですが、その記事は当てこすりみたいなことを最後に書いて終わりました。これはいかんいかんということで、佐渡のおけさと郡上節を再考。 mtdoyu1601.hatenablog.com 郡上踊りの圧倒的な人気・集客力は、…

北東北の鉱山、灯台、文化財探訪(R4.9.22-25)

秋田 尾去沢鉱山 岩手、秋田、青森の北東北の文化財探訪旅行。連休中は雨の予報も、車から降りて色々見ているときは雨が上がってくれていたので何より。25日(日)は雲一つない秋晴れで最高でした。 尾去沢鉱山は佐渡鉱山と同じ三菱の経営でした。今でも、ゴー…

中延ねぶた祭り(R4.9.17)

荏原中延の商店街で9月17日、ねぶた祭りがあると聞いて行ってきた。 ねぶたを見るのは初めてだが、圧巻だった。よく作るなあ。 道幅ぎりぎりの商店街をうま~く通していくのも見どころか。 この背面の絵も繊細でとてもきれい。いいなあ。こんな山車がうちの…

「宵の舞は江戸時代からあった」は嘘

www.youtube.com UXこと新潟テレビ21のYouTubeを見ていて驚きました。宵の舞は江戸時代に相川金山と奉行所を結ぶ通りで相川音頭を踊りあかした民謡流しを再現???????? こりゃまた根拠のないウソを堂々と言ったものだと思いました。宵の舞というのは…

郡上おどりを見に行った(R4.7.16)

2か月ほども前のことになってしまいましたが郡上踊りを見に行きました。 youtu.be 当日はあいにくの雨、なのにカッパや菅笠を被って踊る人たちがたくさんいて感動しました。3年ぶりの開催、今年は郡上踊り保存会100周年の節目、その喜びはいかばかりかと思い…

新型コロナに感染してしまいました

先週の土曜日のこと。激務を終えて昼まで寝ようとしていた僕は何となく体が本調子でなく、足に疲れがたまっているなという感じがして目が覚めました。喉にも違和感を感じていました。「みんな最初は喉がやられたと思って過ごすがあとからコロナと判明する」…

最近の鉱山祭のこと 提案篇

連作、鉱山祭シリーズは今回が最後です。 最後は提案篇です。これまでの記事を見てくださった賢明な読者は、今の鉱山祭には何が必要なのか既にお気づきのことと思います。 言うまでもなく、鉱山祭に必要なのはおけさの流しです。これを今より盛り上げること…

最近の鉱山祭のこと 民謡の本来の「文脈」

鉱山祭シリーズ。 民謡には本来それが唄われるべき場面、TPOがあります。仮にそれを文脈と呼ぶとしましょう。 民謡には数々の種類があります。例えば労働唄・作業唄では粉摺節とか田植え唄とかがあります。他には盆踊り唄、祝い唄などがあります。 私は、民…

最近の鉱山祭のこと 祭をdesignするという思想

鉱山祭の批評シリーズ2本目。 鉱山祭は明治に始まって以来、長らく鉱山の労働者、そして町民の祭りという位置付けで続いてきました。昭和が終わると佐渡鉱山は休山となり、鉱業を前提としない街づくりが本格的に始まります。すなわち、観光業への本格的なシ…

最近の鉱山祭のこと おけさ流しの行動範囲編

先月、しばらく論評は控えたいと表明しましたが、友人M氏から鉱山祭の様子を教えてもらって、色々考えてしまいました。最近はやや力が回復してきたので、ぼちぼち論評を再開していこうと思います。 今回は「おけさ流しの行動範囲編」です。 というのも、最近…

「毎年毎年少しずつひどくなるんです」

丸山真男が回顧していたことだ。 毎年毎年ひどくなっていく……昭和6年より8年の方がひどいし、8年より10年の方がひどい……12年に近衛新体制ができ……16年が太平洋戦争…… 「その変化のテンポと激変ぶりはとても口ではお伝え出来ない」 此度の「事件」で確定だ。 …

好きな言葉「古い言葉ほど新しい」

《新・教養主義宣言――古い「ことば」こそ、新しい》先崎彰容さん×大澤聡さんトークセッション ※このイベントは終了しました。 | 晶文社 ネットサーフィンをしていたら見つけた言葉です。 私は先崎彰容を結構気に入ってます。著書もいくつか読んだことあり。 …

猛暑のなか善光寺に行った

列島は猛暑である。群馬の伊勢崎では6月としては観測史上初の40度を記録した。 ここ善光寺も御多分に漏れず、炎天下であった。 午前9時ごろ参拝し、山門、内陣、御朱印、経蔵の列に並ぶことトータルで2時間ほど。 立っているだけで疲れてしまったが、それで…

国立映画アーカイブ「東宝の90年」が楽しみな件

東宝の90年 モダンと革新の映画史(1) | 国立映画アーカイブ 東京駅近くの国立映画アーカイブで6月24日から7月31日まで、上記の企画が始まる。 『七人の侍』とか見てみたい。 自分は映画がそこまで好きな方ではなかったが、昨年来『シン・ヱヴァンゲリヲン…

降参宣言

今まで佐渡のことで色々やってきましたが、最近どうしようもないことばかりが目について来たのでもう「おりる」ことを宣言したいと思います。 もうやってられません。色々論じるのも考えるのもこれが限界なので、これからは見捨てて、ボードゲームや卓球にで…

佐渡博物館の企画展「佐渡の年中行事」に行った

3月中に探訪 佐渡博物館で2022年3月31日まで開催されていた展示に行った。 一言で言えばマンネリ化の気分を拭い去ることはできない。 ただ収蔵庫にあるからたまには展示するかくらいのノリで開催されたのだろうかと思ってしまうほどだ。 これは私が色んな博…

身延山&三保の松原探訪(2022/02/05)

身延山の山門 先月、先輩と身延山に旅行に行った。 菩提梯(ぼだいてい) 287段の階段を登る。この階段は佐渡の「仁蔵」という人物の発願によるものと言われているが、実は「仁蔵」とは味方但馬のことであるらしいことを後日知った。聞けば、工事か何かのとき…

「相川の人はお茶をしない」

「相川の人って全然お茶せんよね~」 と、ある場所で先日話題になった。 別の集落の人からしたら、いや東京暮らしを経験したご婦人の方々でもそう感じるくらいには、相川の人は知り合いの家でお茶したり、ということがないようだ。 案外、「町づくり」の基礎…

市に行った

10日と22日は羽田の市の日で、今日は天気が良かったのもあり足を運んでみた。意外と人がいてまあまあ賑やかであった。一番多いのは近郷から来る野菜売りで、他に花屋とか魚屋が来る。昔はここに栗焼きの屋台があって、行列ができるくらい人気であった。皮が…

第1回 相川地区卓球ビギナーズマッチを開催します

申し込みは前日まで受け付けています このたび、相川卓球クラブでは、初心者向けの大会を開催する運びとなりました。 皆さま奮ってご参加ください。 申し込みはコメント欄などにご一報ください。 お待ちしております。 (・・・・・・人数少ないのでこのブロ…

畑野の「味里」に行った

畑野にある中華料理屋・味里の肉ニララーメン。牛肉のオイスターソース炒めもめちゃめちゃ美味。リピーター候補になりつつある。

『写真が語る佐渡の100年』の記述の誤り・未確認情報覚書

『写真が語る 佐渡の100年』2021年、いき出版。 このほどいき出版から刊行された写真集、『写真が語る佐渡の100年』をご恵投たまわった次第、いやはや貴重な写真がたくさんでとてもよい記録になっていると感じている。 が、しかし、写真についているキャプシ…

小学校・中学校で佐渡の民謡を教えるべきか

「佐渡の小中学校の運動会ではグラウンドで佐渡おけさを踊る」 ということがしばしば独自の学校文化として語られる。 これに限らず、義務教育課程で佐渡の民謡を教えている学校は少なくない、というかほとんどすべての学校でそういう時間を設けていることだ…

相川郷土博物館は市民向けの展示を基本にするべきだ

www.niigata-nippo.co.jp >近代の鉱山運営の歴史や当時の相川地区の暮らしを伝える資料などに焦点を当て、世界文化遺産登録を視野に金銀山を前面に打ち出した展示を目指す。 愚策である。特に近代の鉱山運営の歴史はゴールデン佐渡の展示で十分である。「道…

翻訳史を知る ~船山徹『仏典はどう漢訳されたのか』~

船山徹、2013『仏典はどう漢訳されたのか ―スートラが経典になるとき』岩波書店。 年始にTwitterで少し話題になっていたこの本。 ガジョレ on Twitter: "『仏典はどうやって漢訳されたのか』を読んでいますが、本文の趣旨よりもここの鳩摩羅什が「セックスし…

五輪中継ばかりでテレビがつまらない、と言うなかれ

北京オリンピックが開幕してからこっち、NHKや民放で中継ばかりやっていて面白くない。まあ元からそんなに面白いかと言われれば答えに窮するが、輪をかけてつまらなくなった。 だがこういう意見を安易に口にするのも考えもの。いくらウィンタースポーツに詳…

社会と葛藤と宗教 ~堀一郎『聖と俗の葛藤』~

平凡社ライブラリーから出ている堀一郎の『聖と俗の葛藤』を読んだ。これは昭和45~48(1970~1973)年頃の、宗教民俗学者の堀一郎の論考を集めたもので、平凡社ライブラリーによくあるアンソロジーに近い本だ。言い換えると『堀一郎セレクション』と言ったと…