海鳴の記

お祭り見物が趣味のディレッタント。佐渡民謡の担い手です。

当てこすりではなく真面目に考えたい 佐渡おけさと郡上節

7月に見に行った郡上踊りのことは既に記事にしたわけですが、その記事は当てこすりみたいなことを最後に書いて終わりました。これはいかんいかんということで、佐渡のおけさと郡上節を再考。

mtdoyu1601.hatenablog.com

郡上踊りの圧倒的な人気・集客力は、まず誰でも踊りの輪に入り楽しむことができるというのがあるのは間違いないでしょう。見るだけなのと、踊りの輪に入るのとでは楽しさが段違いです。地元の人よりも観光できた人の方が輪に多く入っていたのではないかなと思います。私のような初めて来た人だけでなく、往年のファンのような人もいました。これだと毎年定期的に踊りに来てくれるのでリピーターに直結しますね。

踊りが平易というのもあります。郡上節は10の踊りからなりますが、ほとんどは踊りが簡単です。振り付けも重複したものがあります。もちろん間違えても誰も咎める者はいないわけですが、参加しやすい、ハードルが低いのはよそから来た人にはありがたい話です。

また、郡上踊りの場合は保存会が中心となって一生懸命勤めているのも大きいです。始まる前の挨拶も保存会の人が述べる、屋台の準備もやっていましたし、普段から郡上踊りの運営を進んで行っているのではないでしょうかね。観光協会に丸投げという感じではないように思います。

以上は佐渡おけさにはだいたい欠けているものと言ってよいと思います。おけさ16足は初心者には大変ハードルが高い難しい踊りです。お座敷で芸者が踊っていたものをあれこれ作り変えてできたものですから、当然と言えば当然かもしれません。プロがやっていたものですから。そう考えるとこれを踊りこなす佐渡人は胸を張って良いとも思います。

一方で平易な踊りというと相川甚句の振り付けが思いつきます。高千の方では、盆踊りで今の相川甚句の踊りを踊りながら、色々踊っていたようなので、これが一番民衆向けの踊りといえそうです。そうなると、相川甚句にはもっと可能性があるのではないかと思います。盆踊りでもっと注目されて然るべき、という意味で。伴奏も三味線と太鼓だけで、返し唄があるのでにぎやか、リズムも軽快ですので、音頭おけさより盆踊り向けなのは間違いないでしょうね。

もう一つ大きいのは求心力とも言うべき何かでしょう。郡上踊りと言えば?間違いなく本場は郡上八幡でしょ、って返せるわけですが佐渡おけさは?となると代表的な祭りもないし、どこに行けば踊りを見られるのかもよく分からない……。ただイベントとかホテルとかで地元のおじさんおばさんたちが民謡ショーやってるだけ……というのが現実なのでは?僕が相川だからそういっているのではないですが、佐渡おけさの中心的イベントとして鉱山祭を位置付け直してよいのではないかと、思うのですが。中心がない、ここに行けば間違いない必ず佐渡おけさが聞ける踊れるというのがないのはもったいない気がします。

鉱山祭りでもパレードで飛び入り歓迎~なんて書いてありますけどパレードはここ最近土曜の夜40分くらいしかやっていないのですから、代表的イベントと名乗るには物足りなさを感じます。あと、立浪会がせっかくやっているのですから、もう少し立浪会が前に出てきてぐいぐい引っ張っていってほしいなとも思いますね。なんかおぜん立ては観光協会、運営その他にお任せして、自分たちは呼ばれて踊って演奏してるだけ、みたいなとこがあるので。それなら立浪会じゃなくて良いわけで、相川の鉱山祭で佐渡おけさをやる、というなら立浪会がここぞとばかりに前面に立ってやっていってほしいんですよね。人手不足というのはあるかもしれませんけど、実際にどこまで実務含めて動けるかは別として、姿勢というのが問題になっているのではないかしらと思います。佐渡おけさの中心は何か、佐渡おけさと言ったらこれ、というべきものは何かが問われている気がしました。